「東アジア儒教圏の負け犬たち」酒井順子(p117〜)
「文学をもっと社会学する」は ”一冊の本の中で30冊以上の文学を社会学する”という方法でそれぞれを紹介しながら上野さんが分析してコメントをしていく書なので、一冊の本でたくさんの本を読むような楽しさがある。
今回の酒井順子の「東アジア圏の負け犬たち」(p 117〜)はいつも以上に、皆でゆるく読書を進めたからか、あまり進まなかった。たった6ページだけしか進まなかった。内容がかなり面白く皮肉も効いていた。
儒教圏の韓国・中国・日本の比較というよりも、実際には「ソウル」「上海」「東京」での比較調査だったようだが、とても興味深い内容で是非、本書を読みたくなった。
酒井順子の言う「負け犬」の(漢字の)訳語が面白い。
韓国「老処女」、中国「余女〜少し前までは大齢女性」。台湾では「敗犬女王」。漢字は色々、意味を想像させ深い。
日本は中国からきた「儒教」をタテマエとホンネで平然と使い分けてきたことが過去の記録などでも分かっているという。そして今にも続く。
書の中のデータが示す「要求力も拒否力も低かった東京負け犬」が見えるようだ。